慢性骨髄性白血病(CML)①

原因

慢性骨髄性白血病は立派な骨髄増殖性腫瘍(MPN)の一種なので、造血幹細胞(正確には骨髄系の前駆細胞)がクローン性に増殖する。そして、他のMPNに属する疾患と一線を画す、極めて重要な特性がフィラデルフィア染色体陽性だ。細かい説明は後に回すが、治療の根幹にも関わる非常に重要な特徴である。

慢性骨髄性白血病とは、骨髄系の前駆細胞がクローン性に増殖することによって生じる、フィラデルフィア染色体陽性の疾患である。

症状

CMLは自覚症状に乏しい。全身倦怠感や体重減少などは生じうるがあまり劇的なものではない。一つだけ覚えておくべきなのは巨大脾腫だ。これは白血病細胞が脾臓に浸潤することによって起きる。ちなみに肝腫大も十分にありうる。脾臓が腫大する疾患というのは血液疾患以外も含め数多く存在するが、巨大脾腫までいくとかなり特徴的なワードとなる。CML以外では、髄外造血をきたす骨髄遷移症を巨大脾腫と関連づけて覚えるべきだろう。

急性転化

自覚症状に乏しいCMLだが、放っておくととんでもないことになる。CMLは段階的に悪性度が進行していく疾患であり、3~5年で移行期を経て急性に転化する。要はCMLがAMLにランクアップする。こうなると治療は非常に困難になるので早期発見早期治療は非常に重要である。この急性転化という現象、白血病細胞レベルで何が起きているかというと、遺伝子異常の追加による分化能の喪失である。慢性期のCMLにおいては白血病細胞の分化能は保たれており、そのために血中には様々な成熟度の細胞が広範に増加する。それが急性転化してしまうと、分化能を失い、芽球が一気に増える。芽球とは未熟な骨髄細胞のことだ。そのため中間くらいの分化度の白血球というのが一気に少なくなる。これはAMLに特徴的な現象と全く同一のものであり、白血球裂孔と呼ぶ。

ちなみにこのとき、骨髄系以外の芽球も上昇するらしい。血中細胞の分化度が未分化の方へ著しく偏ると覚えるとよいかもしれない。