余談:sidero
鉄芽球性貧血は英語でSideroblastic Anamiaという。Anamiaは当然貧血だ。blastは芽球や芽細胞という意味になる。線維芽細胞はfibroblastだ。補足しておくと、芽という単語が示すように芽球は未熟な細胞のことである。例えば赤芽球は赤血球の未熟な形態である。
blastが芽球なのだから、必然的にsideroは鉄という意味になる。呼吸器の疾患に塵肺というものがある。微小な粒子を這いに吸い込むことによって発症する病気で、主な原因はアスベストやケイ酸だったりする。その塵肺の一種に鉄が原因となる鉄粉沈着症という疾患が存在する。そしてこの鉄粉沈着症に対応する英単語はSiderosisだ。siderosisは肺への沈着に限らず、鉄沈着全般に対して用いられる単語でもある。
結構有名かもしれないが、peniaという単語は不足を意味する。これを使えば鉄欠乏性貧血はsideropenic anemiaということもできるのではないかと思って検索してみた。結論としてはほぼ使われていない。ただ次のようなタイトルの論文もあったので英単語として間違いではないらしい。
Sideropenic Anemia and Celiac Disease (One Study, Two Points of View)
余談の余談だがsideroには星という意味もある。siderophobiaは鉄恐怖症ではなく星空恐怖症である。そんな恐怖症があるということが驚きだし、なぜここだけ星空という意味になるのかもよくわからない。