①白血病とそれ以外の疾患の違い
白血病を理解するためには、次の様な段階を踏んで違いに目を向けていくとよい
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白血病とそうでない病気の違い
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急性白血病と慢性白血病の違い
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急性白血病における骨髄性とリンパ性の違い
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急性骨髄性白血病の分類
というわけでまず最初は、白血病とそれ以外の区別だ。ここでは白血病がどのような症状をきたす病気なのか?ということを考えてみる。もちろん白血病の種類によっても症状は異なってくるので大雑把な理解にはなってしまう。
血球に関わる症状
白血病は白血球の癌なので、当然白血球は影響をうける。加えて大事なのは赤血球や血小板もあおりを食らうということだ。これは白血病でがん化する細胞のほとんどが未分化細胞であるために起きる現象である。
赤血球・白血球・血小板の3血球は全て造血幹細胞から分化することによって生じる。白血球の場合、分化の最終段階には、好中球・好酸球・好塩基球・マクロファージ・T細胞・B細胞など様々な細胞になる。そして、白血病ではこれらの分化を終えた細胞たちが原因となることはほとんどない。ほぼ全てのケースにおいて、より造血幹細胞に近い、未熟な細胞が癌化することによって発症する。白血病を勉強しているとよく芽球という言葉に遭遇するが、芽球と言うのは白血病細胞のことを指しており、分化段階が未熟だからこそ芽球と呼ばれるのである。
そのため、白血病では3血球全てが機能不全に陥る。そのため以下の様な症状をきたす。
- 赤血球の機能不全
- 貧血
- 白血球の機能不全
- 易感染性・発熱
- 血小板の機能不全
- 出血傾向
ちなみに末梢血を採取してみると、赤血球と血小板はほぼ確実に減少傾向が見られるが、白血球は増えることも減ることもある。白血病では、正常な白血球の産生は抑制されているため、白血病細胞が末梢血に出てこなければ白血球数は減少する。逆に、白血病細胞が末梢血にまで現れてくると、白血球数はかなり高値を示す。日常診療では白血球の上昇から白血病を疑うことが多いかと思うが、増えていないからといって白血病でないとは言えないので注意はしておこう。
臓器症状
白血病も立派な癌なので、白血病細胞は癌細胞でもある。この白血病細胞が正常な臓器に浸潤することによる症状も見過ごせない。浸潤する臓器によって症状は様々であるが、肝臓や脾臓が腫れる・腰痛・リンパ節腫脹・頭痛・吐き気などがありうる。また神経症状をきたすケースもある。肝臓や脾臓が腫れるというのは抑えておくと良いかもしれない。