慢性腎不全
慢性腎不全は副甲状腺疾患ではないが、カルシウムやリンに与える影響が大きい。副甲状腺疾患や骨代謝に関する問題の選択肢として超頻出なのでここで取り扱う。
絶対に覚えておくべきなのは2つ。Caの低下とリンの上昇である。
Caの低下
これは活性化ビタミンDが原因である。活性化ビタミンDは腎臓なしには力を発揮できない。ビタミンDは腎臓や腸管からCaやPを血中へと移動させる働きを持っている。よって慢性腎不全によって活性化ビタミンDの産生量が下がることにより、Caが低下する。
ちなみにPも低下しそうな気がするが、そこについては次の項を読んでほしい。
Pの上昇
腎臓というのはリンの排泄を担当している。リンは人体にとっても非常に有用で欠かせない物質であるが、多すぎるとその毒性が問題となる。そのため腎臓というのは血中のリンが多くなりすぎないように結構頑張っているのだ。
慢性腎不全においては腎臓がリンを十分に排泄できない。よって血中のリンは上昇する。リンについてはビタミンDによる影響よりも排泄低下による影響の方が大きい。よってリンは増加する。
副甲状腺ホルモン
慢性腎不全では副甲状腺ホルモンが上昇するということも覚えておこう。副甲状腺ホルモンは血中のカルシウムを上昇させ、リンを低下させる働きを持っているので、ネガティブフィードバックから考えれば当たり前である。
ちなみに慢性腎不全は続発性副甲状腺機能亢進症の原因になるとも言い換えることができる。
Ca | P | |
---|---|---|
副甲状腺ホルモン | 上昇↑ | 低下↓ |
活性化ビタミンD | 上昇↑ | 上昇↑ |
カルシトニン | 低下↓ | 低下↓ |