パラトルモン

パラトルモンとは副甲状腺ホルモンのことである。上皮小体ホルモンと呼ばれることもある。骨代謝に関わるホルモンであり、標的臓器が2つある。

腎臓
副甲状腺ホルモン 骨吸収を促進 Caの再吸収↑
Pの排泄↑
活性化ビタミンD↑

上の表を見れば腎臓が標的臓器であることがわかる。

作用機序

というわけでパラトルモンの標的細胞は骨と腎臓に存在する。そして、標的細胞の中でなにが起こっているのか?というのも重要になる。標的細胞の中で起きているのはおおまか次の4ステップである。

  1. パラトルモン受容体との結合
  2. G蛋白の活性化
  3. cAMPの産生
  4. 謎の反応

口頭で説明してみよう。まず受容体と結合する。そうするとG蛋白が活性化する。それがcAMPの産生につながる。最後にcAMPの増加が巡り巡って実際の作用となる。cAMP以降何が起きているかは細かいので覚えなくていい。というか多分よくわかってない。

なんでこんなこと覚えなきゃいけないかって言うと、偽性副甲状腺機能低下症Ellsworth-Howard試験を理解するためである。

偽性副甲状腺機能低下症というのは、パラトルモンの標的細胞がパラトルモンに反応できない疾患である。

つまりさっき説明したパラトルモンの作用機序4ステップのうちどこかに問題があるということだ。そしてどのステップに異常ががあるかによって病型が分類される。Ellsworth-Howrd試験はこの異常があるステップを特定することができる。

Ellsworth-Howard試験

腎尿細管がヒトPTHに反応するかどうかを調べる試験。副甲状腺機能低下症の鑑別に用いられる。

まずは外からパラトルモンを入れる。正常ならばパラトルモンに反応して、Ca↑やP↓が見られるはず。さっきの表を見直そう。パラトルモンが欠乏している特発性甲状腺機能低下症においても同様だ。しかし偽性の場合は、パラトルモンに反応しないはずなので、何も起きない...はず。

しかしcAMPに関してはどうだろうか?もし4. 謎の処理のところに異常がある偽性副甲状腺機能低下症だったら?cAMPは賛成されるはずだ。そして行き場をなくしたcAMPは尿中に排泄されるので、尿中cAMPは上昇する

違った例を考えてみよう。2. G蛋白の活性化に異常があったらどうだろうか?当然だが、外からパラトルモンを入れてもcAMPは増えない。尿中cAMPは変化しない

ちなみに尿中cAMPが上昇する前者がⅡ型。尿中cAMPが変化しないのがI型である。